申告納税制度

私は社会保険労務士さんを多く知っているわけではありません。
ただ、社会保険労務士さんと役所の方とのやり取りを聞いていると、(社会保険労務士さんは役所の方を向いているな)と感じることがあります。
もちろん、違う考え方の方もいると思うので、そのような方がいればぜひお話を伺いたいです。

私の理解では、

  • 社会保険労務士さんは「申請する立場」

  • 役所は「判断する立場」
    なのかな、と勝手に考えています。(間違っていたらいつでも考え方を改めます。)


例えば、役所から質問の手紙が届いたとき、社会保険労務士さんはすぐに回答を作成します。
一方で税理士さんは、まず「そもそもこれに答える義務があるのか?」というところから検討を始めます。

私はこれには2つ理由があると考えています。

  1. 申告納税制度
    税金は、正しい税額を考える主体が国民側にあるという仕組みになっているから。

  2. 制度の歴史
    税理士制度は、社会保険労務士制度よりも約25年ほど長い歴史を持っているから。


税理士と社会保険労務士とでは「役所に対する姿勢」に違いがあるように思います。
ただし、税理士の中でも考え方は人によって異なります。

税理士の考え方は大きく分けると次のようなものがあると思います。

  1. 納税者が仮に申告し、税務署が確定する

  2. 納税者が申告したものを、税務調査で確定する

この二つを信じている方は「税務署に通る」「税務署に認められる」といった表現を使います。
もちろん、これも正しい考え方だと思います。


一方で、私が法律から読み取れるのは次の考え方です。

  1. 納税者が申告した時点で確定する

そう考える理由は、税務署の権限が非常に小さいからです。
そして、納税者には「正しい納税額を考えて申告する義務」があります。


先ほど、社会保険労務士は「申請し、役所が考える」と書きました。
これに対し、税金は「納税者が考えて申告する」ものです。

もちろん、人間ですから間違いもあります。
そのため税務署には「質問検査権」という権限が与えられていますが、この手続きはとても厳格に定められています。

税務調査(事前通知のあるもの・ないもの両方)は、必ず税務署長の指示で行われます。
したがって、職員が思いつきで電話をかけて質問するようなことはできません。
あくまで「税務署長の名のもと」に行われるものです。

そのため、論理的でない質問は基本的に存在しないはずです。
調査は、納税者に間違いがあればそれを正すための確認の手続きであり、申告納税制度の本質は「納税者主体」であると私は理解しています。