回答をいくつか用意する事

納税は公平公正が目的です。しかし答え(納税額)は一つではありません。

同じ儲けなら同じ税金と言うようには作られていません。その証拠に
税理士試験では「やり方が2以上あったら税金が安い方を選べ 」と書いてあります。
いくつか考えられる税金うちの最安値で回答するルールがあるので、言い換えれば他にも答え(納税額)があります。一般的に税理士さんは6パターンくらい納税額を用意しています。その中から今の状況に合う適切な納税額を提示します。
 「正解は一つでそれ以外は悪」でもありません。しかし正解が一つしかないと思っている人が多いのは事実です。というより正解が多数ある=不公平と思ってるのでしょうか?。
なぜこうなるのか。例えば
・自動車税とか固定資産税とか送られてくる納付書
・毎日? 飲んでいるビールの酒税や消費税
・たばこ税
・ガソリン代の揮発油税
には納税額が一つだけ決まっている事が一つの原因かなと思います。

税金の金額は何通りかある
納税額は何通りかあり選ぶことになる
「いやいや給与所得だから誰が計算しても一緒でしょ?」と言いますが、親や子供を誰の扶養控除にするかだけでも選択肢があります。

・収益計上基準を選ぶことで確実に税額が変わります。 締切日通達を使うことで確実に課税される所得は変わります。 今は「納税額には二つ以上の答えがある」とぼんやり理解してくれたらいいです。
・二つ以上の答え(納税額)がある事が理解できたら今回は所得が多い方で申告するか、少ない方で申告するか。 選べることになります。



税率低い
税率高い
歩留まりが小さい
収入が多い
×
所得の大小選べるのは何とか理解したとして、税率の高低って何? と更に疑問が湧いてしまいます。
ここには所得の種類と税額控除が関係します。


ところが、税金は決まった額を支払うものと思っている人が多い。 根深い問題です。
簡単な質問なのですが、公平、公正を目指す税金は計算式で決まってるので同じ金額を支払っていると思っていませんか? その考え方が根深い問題と思っています。 (勝手な思い込みで税金が「取られる」と発言するのならそれはさらに問題です。 )

税金が変わる場面
①ある現象、例えば売上と経費があったとして、誰の所得にするか。 例えば個人事業でやるのか、法人でやるのかで、トータルの税金は変わります。 誰が納税してどこにお金を残すかを考えることで結果として納税額は変わります。 トータルの納税額で選ぶかお金の残し方で選ぶか「選択」ができます。
②設備投資をしたときに 特別償却(今年の税金は安いが、複数年で見れば普通)を選ぶか 税額控除)今年の税金は普通だが複数年で見れば明らかに特別償却より得)を選ぶか、単年で考えるか複数年で考えるか「選択」をすることができます。
③所得税は所得を10種類に分類し、法人も所得金額が0〜800万円までは税率23%くらいですが、800万円を超えると40%くらいに代わります。

会計は結構クリエイティブ

公平公正はとても分かりやすいです。 なんと小学2年生で習う漢字のようです。
しかし、税の公平公正というと本当の意味は深いです。

税の公平公正というと
①所得の低い人は安い税金で、所得の高い人は高い税金を支払うという意味の公平公正
②所得が同じであれば同じ税金を支払うという公平公正
と、理解していませんか。 半分は合っています。

税理士試験問題にはある特徴があります。 ①簡素化して言うと、「やり方が2以上あったら税金が安い方を選べ」と試験問題に書いてあります。 この国家試験は税金が高いと不合格になります。
つまり、余程でない限り、税額は一種類ではないです。 ②そしてもう一つ驚くべきことが起きます。 翌年勉強している頭の良い受験生からもっと税金が安くなるアイディアが出てきます。 つまり「税金は頭が良いと下がる」のです。 脱税ではないです。 正解です。

私はこう考えます
納税額は人それぞれ。 同じ所得でも納税に幅がある。 これでは公平公正ではないのですが、あまりに幅広くて、もはや何が公平公正か定義することが難しいので、①法律(ルール)は一つ②納得して納税するというルールも一つと。 いう公平公正なのではないか。
③納得の仕方は人それぞれなので、納税額に幅があるのは③のせいで、①②ではない。

まとめると税の公平公正とは、
A所得の低い人は安い税金で、所得の高い人は高い税金を支払うという意味の公平公正
B所得が同じであれば頑張った(国の制度に則った)人の税金は安く、さぼった人の税金は高いという意味の公平公正なのではないか

別の考えなのですが、「正解は一つ」という言葉が独り歩きしてないか?
耳障りは良いですが、正解は一つのわけありません。
「君だけに」と歌っていた少年隊の一人は離婚しましたが、結婚相手に正解が一つなわけありません。 もともと世の中の正解は沢山あります。 回答が一つということはまだ思案が足りないですが、これも人それぞれの考えです。 親の決めた人と結婚することが普通だった時代はあったのですからね。

ついでに税理士資格の取り方も試験合格(約45%)以外に沢山あるのをご存じですか?

・税理士試験は、年1回(例年は8月)実施されます。
試験科目は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目(必修)と、税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択)です。

公認会計士
短答式試験の試験科目は、財務会計論、管理会計論、監査論及び企業法の4科目です。
論文式試験は、会計学、監査論、租税法、企業法及び選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のうち、受験者があらかじめ選択する1科目)の5科目です。

弁護士
短答式試験 憲法、民法、刑法
論文式試験
公法系科目 (憲法及び行政法に関する分野の科目)
民事系科目 (民法、商法及び民事訴訟法に関する分野の科目)
刑事系科目 (刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目)
選択科目  (倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法公法系、国際関係法私法系から1科目選択)


  • 税理士は他の士業に比べてどうなのかな? 誤解を与えやすい。
皆さんはもしかして、次のように誤解してませんか?
「税理士は税理士試験合格している」
「税理士は全員法人税法、所得税法、相続税法、消費税法の試験を受けている」と思っていませんか? それは間違えです。 試験合格は4割ほどしかいません。 他の士業に比べて色々なルートで税理士になれます。 また、もし試験合格者だったとしても、固定資産税、酒税、国税徴収法、事業税、住民税等でも合格することが可能です。

そもそも皆様は国家資格を保有するのには、国家試験を受けるものだと思っていませんか? また、国家試験が科目選択できることを知っていますか? https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/doc/prospects/whats_zeirishi/book02/origin/page-0017.pdf
税理士試験科目は選択制です。
簿記論・財務諸表論・所得税法・固定資産税・酒税法
という選択でも合格できます。 なぜこのような科目選択をするかというと、簡単だからです。 テキストが薄いからです。 (とはいえテキストが薄い科目の合格が簡単ではありません。 高得点の争いとなるからです。 固定資産税合格者はうちには何人もいましたが、税理士としてその知識を使う人は今のところ見たことがありません。 )
税理士は他の士業に比べて特別にややこしい資格です。
医師 試験合格のみ
弁護士 試験合格又は検察事務官から特任検事になる・・・少しややこしい
公認会計士 公認会計士試験合格のみ
技術士 試験合格のみ
不動産鑑定士 試験合格のみ
弁理士 試験合格、弁護士又は特許庁において審判又審査に所定期間以上従事している者・・・少しややこしい
社会保険労務士 試験合格、弁護士・・・少しややこしい
税理士・・・特にややこしい。
税理士法3
一 税理士試験に合格した者
二 第六条に定める試験科目の全部について、第七条又は第八条の規定により税理士試験を免除された者
三 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。 )
四 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。 )
弁護士、公認会計士など税理士法制定前からある資格
税務署の退官者や大学院卒業者などは、税理士資格を取得することができます。弁護士と税理士の両方の資格を持つ人は一人しか知りませんが、その人は両方の試験に合格しています。一方で、公認会計士や大学院卒、税務署の退官者が多数税理士として登録しています。登録後は見分けが難しいですが、どのように税理士になったかを尋ねれば簡単に判別できます。医師は試験合格者のみですので、出身大学を気にすることもありますが、税理士については、どの大学を卒業したかよりも、どのようにして税理士になったかの方が気になるのではないでしょうか?

最後になりますが、公認会計士や弁護士が税理士登録したとして、沢山納税の選択肢を持っていると思っていますか?

回答が一つではないように、税理士の・・なりかた・・もいくつもあるのです。