複式簿記と利益

①会計と利益の関係
1.簿記が出来れば利益が出るわけではない
2.簿記が出来れば会社は健康である確率は上がる
3.簿記を学問にしてはならない。直感的なものにしなければならない。
4.緩い会計ときつい会計の使い分け
5そもそも利益はどうやって出るのか

1.簿記が出来れば利益が出るわけではない
会計が正確、しっかり、厳密であれば利益が出る。と思っている人がいるかもしれません
会計がしっかりしていれば利益が出ると大昔から言われていますがもしそうであれば、「あの会計事務所に頼むと利益が出る!!」と話題になり、「全国で一番利益が出る」と評判の会計事務所が生まれるでしょうが、何十年経ってもそうなりません。
✖ある会計事務所に頼んだら利益が出る
✖ある会計プログラムを使うと利益が出る
✖単式簿記を複式簿記に変えたら利益が出る
明確に説明出来ません。利益の出方については下記5に記載

2.簿記が出来れば会社は健康になる確率は上がる
しかし倒産前提で相談に来られた方が「会計事務所をちゃんと選んでいたら倒産しなかった」と残念がられていたのも事実で、会計と倒産の関係はどうやら説明出来そうです。
 複式簿記をちゃんとやっていたら会社生存確率が上がる理由
・簿記のルールの根本にある 債権者保護・投資家保護の考え方が結局会社を保護している。
会社法や企業会計原則は債権者や投資家が判断を誤らないようにルールが決められています。
債権者(お金を貸す銀行や代金後払いで納品する業者)や投資家が決算書を見て貸付や投資の判断を間違えないように正確に会社の状態を示すルールです。こうなると会社の対応は二つに分かれます
  ・ちゃんと利益を出して決算書を見栄えの良いものにしよう・・・健康診断の数値が悪かったら食事や運動に気を付けようとするタイ
  ・決算書を書き換えよう・・・健康診断の数値が悪かったら数値を書き換えてくれるくれる医師を探すタイプ
話を元に戻しますが、
・複式簿記を使っていると毎年健康診断をしているようなもので、
・複式簿記を使っていない人は健康診断をしたことのない人
健康診断で不健康と言われた人のうちの何人かが健康に気を付けるため会社が健康になる確率が上がる。私の考えです。

3.簿記を学問にしてはならない。直感的なものにしなければならない。
簿記を簿記学、会計を会計学と呼び学ぶ事は経営者にとっては不必要。一利もありません。
簿記は学ぶものでも説明を受けるものでもなく、本来は直感的にわかるべきものです。
例えばDIY(Do It Yourself)をDIY学にしたら面倒くさそうです。設計など学んだことのない人が自己流に作った図面を基に、しかも作りながら考えが纏まっていきゴールが変わっていくのがDIYで、スイッチの入れ方等知るべき知識は「やりながら学ぶ」ので良いのです。DIYは直感的(いちいち言葉にするのも面倒くさい)なものです。
勘違いしてはなりません。例えばアメリカに住むのに英語は学ばなくてはいけません。学んだ上で直感的に英語が使えなくてはなりません。しかし、英語を学問として学ぶ必要はありません。
簿記も言語です。「簿記知ってんだぜ~」ではだめで、簿記が直感的に使えるようにならなくてはだめだと言う事です。

4.緩い会計ときつい会計の使い分け
・複雑な会計はどうやっても簡易な複式簿記に勝てない
 複式簿記をわざわざ複雑にしようとする人が沢山います。
  複式簿記で会社に利益をもたらすのだ!!と本気で思っている人
  暇な経理の人が自分しか理解できないような経理方法を育てる
  取引銀行が多いほうが偉いと勘違いしている社長
  総資産が多いほうが偉いと勘違いしている社長
こういう人が抵抗勢力です。

簿記は緩くて簡素なほうが良いです。複式簿記の効果は別の機会に説明しますが、
緩さについて。
上場会社では許されないのでしょうが、複式簿記のルールでは今年のミスは来年帳消しになるからです。言い換えると今年はダメでも来年、再来年とだんだん合っていけば、成長していけば良いのかなと思っています。簿記にも「重要性の原則」が規定されており、各社の判断に任されています。

   企業会計原則 [注1] 重要性の原則の適用について
    企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる。

簡素について
簿記は簡素であることを目指す必要があります。理由は複雑にしようと思えばかなり複雑に出来るからです。
〇取引銀行や口座を減らす
〇現金勘定を廃止する
〇短期前払費用の規定を使う
・・・まだまだ言い出せばありますが、この三つだけでもかなり簡素になります。

複雑にすると得をする。税金が下がる場合もあります。こういう場合は複雑にする手間と下がる税額とを比較すれば良いです。悲しいことに下がる税額の方が大抵多いですが。

会計は簡素にする必要がある。これは大事です。簿記は簿記自体が目的ではなく経営の手段です。

5そもそも利益はどうやって出るのか
利益はどういう風に生まれるのか。・・・人をびっくりさせれば利益が生まれる

 会社の優劣はどういう所で生まれるのか。
人それぞれ考えがあるでしょうが、私が思うところを書きます。
インターネット時代は
  お客様を探す事もできるし
  お客様に探される事もできる時代です。
このうち「お客様に探される事が重要」に変わったと感じています。ではどうすればお客様に探されるようになるのでしょうか。
 「探したいもの」→「びっくりするようなもの」があれば探されると考えています。
 びっくりするものがあればお客様が集まると考えています。
経営とはびっくりするものを作ることだと考えています。

びっくりするものを作り、それに集まってくれる社員とお客様がいれば幸せに利益が出ると考えています。