贈与時点も一つじゃない

・贈与税は
贈与により財産を「取得」した者は、・・・贈与税額がある場合、・・・には、その年の翌年二月一日から三月十五日まで・・・に、・・・申告書を・・・提出しなければならない。(相続税法28条)
となっている
「取得」を少し掘下げてみるととても面白い
例えば
00年6月 乗用車の購入契約締結(契約主は子供)
01年6月 納車だったとしよう。

00年6月 乗用車の購入契約締結 総額1000万円 手付金500万円(これは親が用意)
01年6月 納車だったとしよう。残金500万円(子がローンを組む)

贈与税の申告はいつするのか。
答 00年6月に親から 贈与により 子が500万円「取得」しているから01年2月15日から3月15日に贈与税申告する
とほとんどの人が考えるのではないか?

しかし、よく考えてくれ。
万が一この契約が成立しなかった場合、500万円の返金があったとして、その500万円はどうなるだろうか。
①普通は親に返す(であれば、00年6月の時点は「もし順調に契約が成立したら親から子に500万円あげるね」という停止条件付贈与契約と考えられる)
②いやいや500万円はあげるよ(この場合は、00年6月又は、契約不成立で500万円返金時に新たに贈与したものと見れる。)

この様に、同じような行為でも
①00年6月贈与
②契約解除後の贈与
③01年6月贈与
と三通りの可能性がある

「そんなこと言ったって00年6月にお金が動いてるだろ」という意見もあるだろう。
しかし次の二点からこの意見には賛成できない。
①00年6月が贈与であれば、子→親への返金も贈与。これはおかしくないか?
②民法 第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
つまり両者合意した時点が贈与である。
00年6月は仮払、子が資金を支配したのは01年6月と考える方が自然かな。

車が住宅であれば、有利に働く特例があるため特に注意したい。